有名建築家「隈研吾」氏が設計した全国の建築物で問題が発生している。栃木県那珂川町の町馬頭広重美術館(平屋建て鉄筋コンクリート一部鉄骨造り、延床面積約2000㎡)は、2000年に開館した。この建物は、全体を不燃処理した地元の杉を使ったルーバーで覆われ、太陽光のあたり具合によって、建物の表情が変化して見えるのが特徴だ。国立競技場を設計した隈氏の代表作の一つでもある。築後25年が経過し、建物は風雨にさらされ、屋根を中心に屋外に露出した木材の腐食が進み、一部が崩れたため、町は2024年2月に改修を決定し、改修設計は隈氏の設計事務所に依頼した。当初の計画では、新たな木製ルーバーに取り換える案が出たが、屋外で使用するには、木材の耐用年数が短いことや、交換に高額な費用がかかることから、町は屋根部分のルーバーを耐久性に優れた木目シートが貼られたアルミ製で代用することにした。外壁部分は引き続き、杉のルーバーを使用する。改修工事費用は約2億4800万円。業界の建築施工関係者たちは、「雨の多い日本では、木材の屋外使用は、腐ることを前提に設計、施工すべき」、「木材は原則、屋外での使用は腐食するので、後のメンテナンス費用を考えた場合、木材の使用はおススメできない」と話す。今回のケースは公共建物であるが、一般住宅の場合はどうだろうか。戸建て住宅においても建築家の設計は、デザインを重視するがあまり、耐久性や維持費をほとんど考慮していないケースがほとんどで、使い勝手が悪く、実用的ではないとの声も多く聞かれる。今から10年前に建築家に設計を依頼して自宅を建築したAさん、「デザイン的にオシャレな家に住みたい」との思いから、建築家に設計を依頼して新居を建てた。建築当初は、そのオシャレな住まいに大変満足していたという。しかし、毎日過ごすうちに、使い勝手の悪さに気づきはじめた。リビングを大空間にしたは良いが、収納が圧倒的に少なく、リビングに物が溢れだした。開放的な家にするため、開口部(窓)を大きく設けたが、壁が少なく、家具などを配置しづらいうえに夏は暑く、冬は寒く結露も多い。また、暗めの照明で落ち着いた雰囲気を出したもののの、夜は薄暗く目がよく疲れるという。築7年後には、雨漏りも発生。外部の木材が腐食したことで、そこから雨水が窓を伝って室内に侵入した。エアコンは配管が外壁に取りつくのは格好悪いということで、すべて壁の中に隠蔽配管としたが、エアコンの故障により、機種を交換したが隠蔽配管だったため、壁の一部を壊すなど予期せぬ出費がかさんだ。さらに木材を使用した外壁が腐食したため、築10年もたたないうちに外壁を張替えたが工事費が高額になり、住宅ローンの他にリフォームローンを組んだ。Aさんは言う。「デザインに憧れ、建築家にマイホームの設計を依頼したが、実際に住んでみると使い勝手が悪かったり、メンテナンス費用も高く、今となっては大変後悔している。デザインもある程度は大切かもしれないが、使い勝手やメンテナンスを考えると、戸建て住宅を得意とする地元の工務店に依頼するべきだった。」これらの事案から、デザインを重視するのは一過性の欲求であり、日常を重視した家づくりをするのが一番重要で現実的ではなのではないだろうか。