ウッドショック 戦後最大 深刻な木材不足で供給懸念も
◆「ウッドショック」で木材価格高騰 (2021.05.10)
「ウッドショック」と呼ばれる木材不足が全国で深刻化している。木造建築に欠かせない木材の供給が滞り始めており、全国的に品薄状態となっている。輸入木材から始まったウッドショックだが、輸入材の入手が困難になっているため、国産材に需要が集中し、国産木材も品薄状態となった。先物木材価格は過去最高水準に達し、価格が高騰。住宅メーカーをはじめ、工務店、建売を主とする不動産業者からは業績悪化が懸念されている。米国シカゴ市場の木材先物価格は、市場初めて1500ドルを突破した。新型コロナウィルスの世界的感染により昨年春には300ドルを割っていたが、その後、木材不足を背景に上昇に転じ、この1年で価格が4倍超まで高騰した。国内の住宅建設にも影響が出始めており、木材を加工するプレカット工場では、予定期日通りに木材を納品できない状況になりつつあるという。6月以降は、木材不足は更に厳しくなると予想されている。
〜記者の目〜
ウッドショック(木材不足)の原因は、新型コロナの影響により低迷した世界経済、中国はいち早く新型コロナを封じ込め、経済回復。また、米国は低迷した経済を回復させるために住宅ローンの超低金利政策を打ちだし、住宅着工数が急増したと言われている。確かにそれらの要因も大きいのだが、現在、木材が不足している最大の理由は昨年下半期に行った木材の減産調整が原因だ。昨年春からの新型コロナ禍により、日本の住宅業界や施主も1年程度の着工延期を実施したケースが多発し、緊急事態宣言により工事がストップするという事態が発生した。そのため、昨年4月から9月にかけて国産木材価格が暴落し、在庫が増加した。その結果、減産調整が実施され供給が一気に減ってしまった。木材商社も住宅着工数の世界や国内情勢を見誤った。これは主に米国材の話であり、欧州、ロシア材は無関係な状況だったが、日本の木材不足をビジネスの好機とみた欧州材やロシア材は、日本の市場在庫が尽きるまで販売量を停止しています。相場上昇を狙っているためです。ウッドショックに左右されないためには、国産木材の自給率を上げる必要があります。そのためには国は国内林業の育成に最大限の支援を行う必要があるのではないだろうか。日本には多くの人工林が存在しますが、その大半は林業の衰退とともに荒れ果てているのです。