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災害給電システム販売が好調

◆災害給電システムが好調 (2022.03.24)

 エイトホーム(千葉県南房総市)が2021年2月に販売を開始した災害給電システム「そなえるでんき」は、停電時にEV車・PHV車・HV車、発電機(1500V用)などのACコンセントから電気を取り出し、住宅に給電する装置。エイトホームでは、全住宅シリーズに「そなえるでんき」をオプション採用している。電動車を活用した災害電源供給では、先行する三菱電機の「SMARTV2H」があるが、両機器は平時に商用電源、太陽光発電、EVの3電源を活用したエネマネを行い、停電時は6kwの大出力で200V機器を含め、家中の電気をバックアップできる。これに対し、「そなえるでんき」は、停電時に必要最低限の電力カバーをコンセプトとし、電動車に搭載される100V・1500WのACコンセントから電気を取り出し、宅内の特定負荷に給電するというもの。使い方は、車内のACコンセントと、住宅の壁面に設置した屋外電源入力ボックスを繋ぎ、エンジンをかけて通電ボタンをオンにすると、自動で予め設定した特定箇所に給電される。EV車・PHV車・HV車を所有していない場合は、発電機(1500W品)を代替機とすることも可能。更に車と屋外電源入力BOXを繋いだ状態で、太陽光発電を設置している住宅の場合、自立モードに切り替えておくと、車からの給電が切れたら太陽光発電からの給電に自動に切り替わる仕組みとなっている。既に流通する給電装置と比べ、機能は限定的となるが、その分、非常にコストパフォーマンスに優れた商品である。同社によると、価格は新築住宅で約30万円(税別)になるという。千葉県南房総市は、令和元年台風15号による大規模災害により、地域全体が長期間に渡り停電するなど、停電時の電源供給に対する住民の関心が非常に高い。

今度は合板ショック

◆今度は合板ショック (2021.12.20)

 ウッドショックに続き、今度は合板ショックだ。ウッドショックによる木材価格高騰が長期化し、本来なら直接的な影響が少ないはずの合板が品不足により価格が高騰している。コロナ禍による東南アジア各国がロックダウン、その影響により輸入合板の入荷が減少し、国産合板も原木丸太の取り合いが発生している。度重なる自然災害に加え、新型コロナウィルスの蔓延の懸念から年末もギリギリまで合板の確保に関係者は奔走している。工務店関係者は、「春以降、合板は徐々に値上がりしはじめ、合板製造メーカーも生産が追い付かないようだ」と厳しい状況を訴えた。価格高騰の要因はいくつかあるが、主因は21年春頃からはじまったウッドショックだ。また、年度内の混乱解消を難しいとみる関係者は、原油高やオミクロン株の影響も危惧しており、年明け以降も合板不足は続くとみている。

大建工業 MDF入荷遅れで日本直行チャーター船を手配

◆大建工業 MDF入荷遅れで日本直行チャーター船を手配 (2021.12.12)

 建材大手の大建工業(大阪市)は、昨年11頃からMDFの輸入遅延に対応するため、年明け1月中旬までにマレーシア・サラワク州ビンツル積み本船を独自にチャーターして、四日市港(三重県)へ直行便を走らせることを決定した。これにより、資材の入荷遅延に対応する。現在、大建工業は室内ドアなどの建材の納期に大幅な遅延が発生している。

住宅用設備関連商品が入らない 新築やリフォーム工事に大打撃

◆ウッドショックに続き、住宅用設備機器ショック (2021.10.20)

 冬を前に給湯機の品不足が深刻となっています。新型コロナの影響で、給湯機をはじめ、照明器具、IH調理機器、ウォシュレット機能付き便器、自動水栓金具等の住宅用商品の品薄問題が次々と明らかになっています。「給湯機交換まで2カ月待ち」、「お湯が出なくてお風呂に入れない!」「新築工事の引渡しが伸びている!」など、インターネット上には人々の嘆きが投稿されています。一体、なぜなのか?ハウスメーカーの担当者によれば、「設備機器に使用する部品の一部をベトナムで生産している。新型コロナによるロックダウンの影響でベトナムの工場が2〜3ヶ月に渡り操業を停止していた。部品が日本に入ってこないので、メーカー側は商品が製造できない。そのため、住宅工事に大幅な遅れが出ており、お客様に説明をしているが納得されない方も多い。しかし、我々もどうすることもできない。」と肩を落とした。ベトナムでは新型コロナの感染急拡大で、今年7月からロックダウンに突入。コイルや半導体など、部品の製造もストップしたため、給湯器をはじめ、多くの住宅用設備機器で品薄状態が続いています。

ウッドショック 戦後最大 深刻な木材不足で供給懸念も

◆「ウッドショック」で木材価格高騰 (2021.05.10)

 「ウッドショック」と呼ばれる木材不足が全国で深刻化している。木造建築に欠かせない木材の供給が滞り始めており、全国的に品薄状態となっている。輸入木材から始まったウッドショックだが、輸入材の入手が困難になっているため、国産材に需要が集中し、国産木材も品薄状態となった。先物木材価格は過去最高水準に達し、価格が高騰。住宅メーカーをはじめ、工務店、建売を主とする不動産業者からは業績悪化が懸念されている。米国シカゴ市場の木材先物価格は、市場初めて1500ドルを突破した。新型コロナウィルスの世界的感染により昨年春には300ドルを割っていたが、その後、木材不足を背景に上昇に転じ、この1年で価格が4倍超まで高騰した。国内の住宅建設にも影響が出始めており、木材を加工するプレカット工場では、予定期日通りに木材を納品できない状況になりつつあるという。6月以降は、木材不足は更に厳しくなると予想されている。

〜記者の目〜
ウッドショック(木材不足)の原因は、新型コロナの影響により低迷した世界経済、中国はいち早く新型コロナを封じ込め、経済回復。また、米国は低迷した経済を回復させるために住宅ローンの超低金利政策を打ちだし、住宅着工数が急増したと言われている。確かにそれらの要因も大きいのだが、現在、木材が不足している最大の理由は昨年下半期に行った木材の減産調整が原因だ。昨年春からの新型コロナ禍により、日本の住宅業界や施主も1年程度の着工延期を実施したケースが多発し、緊急事態宣言により工事がストップするという事態が発生した。そのため、昨年4月から9月にかけて国産木材価格が暴落し、在庫が増加した。その結果、減産調整が実施され供給が一気に減ってしまった。木材商社も住宅着工数の世界や国内情勢を見誤った。これは主に米国材の話であり、欧州、ロシア材は無関係な状況だったが、日本の木材不足をビジネスの好機とみた欧州材やロシア材は、日本の市場在庫が尽きるまで販売量を停止しています。相場上昇を狙っているためです。ウッドショックに左右されないためには、国産木材の自給率を上げる必要があります。そのためには国は国内林業の育成に最大限の支援を行う必要があるのではないだろうか。日本には多くの人工林が存在しますが、その大半は林業の衰退とともに荒れ果てているのです。

基礎断熱工法と第一種換気設備はカビの危険性が高い

◆基礎断熱の床下に死角 (2021.03.09)

  埼玉県の木造住宅に住む40歳代の男性は、基礎断熱の床下合板に生えたカビが原因で夏型過敏性肺炎と診断された。築6年の住宅だ。夏型過敏性肺炎は発熱や咳、呼吸困難などを伴う夏に多く発症する肺炎だ。高温多湿の環境に広く生息するトリコスポロン(カビ)がアレルゲンとなる。男性の症状は重く、入退院を半年間繰り返した。男性が床下のカビに気づいたのは体調不良になったうえに、換気ガラリからカビ臭を感じたためだ。男性は家ではいつも床下につながる換気ガラリ付近に置かれた椅子に座っていた。そのため、ガラリから室内に入ってきたカビを吸い込んでいたと推測できる。住宅は2階の天井裏に第一種換気設備を設置し、基礎断熱の床下に換気ダクトを配していた。ところが、換気設備のフィルター清掃は入居依頼実施されておらず、ホコリだらけになっていた。フィルターが詰まって十分な換気性能を発揮できなくなっていたため、床下の空気の流れも悪くなり、カビが増殖した。建築した住宅会社がトラブル対応を怠ったため、代わりに建て主の相談を受けていた他の住宅会社の紹介で専門業者がカビ防除工事を手掛けた。男性はさらに基礎断熱をやめて、床下換気口を新たに設けた。この専門業者は同仕様の他の家でも床下のカビ被害を目にしていた。業者は「換気が全くできない基礎断熱の床下のカビリスクは言うまでもない。だが、機械換気設備があるからといって安心してはいけない」と注意を促す。住宅のカビリスクは夏や雨の多い季節に高くなる。しかし、基礎断熱の床下は一年中注意が必要だ。床下のカビの量が室内や外気よりも多くなる場合がある。宮城学院女子大学の本間義規教授は、基礎断熱を採用した住宅6棟で、床下のカビ浮遊濃度を冬に測定し、うち5棟で床下のカビ濃度が外気や室内よりも高くなった。夏は6棟とも床下のカビ濃度が最も低かったので対照的な結果だ。「外気のカビ濃度が低くなる冬に基礎断熱の床下がカビの汚染源になるリスクを示す
」と同教授は忠告する。

〜記者の目〜
床下が自然換気できない基礎断熱工法はカビやシロアリのリスクが非常に高まる。また、第1種換気設備(ダクト式)はフィルターの清掃は施主自身でもできるが、ダクト内部の清掃は専門業者ではなければ清掃することは絶対にできない。近年、高気密高断熱化が容易にできる第1種換気設備(ダクト式)を採用する住宅会社は多い。しかし、最大のデメリットは施主自身が完全なるメンテナンスができないことだ。最近ではダクトを使用しない第1種換気設備も販売されているので、第1種換気設備の採用を検討するのであればダクトレスを絶対におススメする。
基礎断熱工法に関しては、シロアリリスクの低い北海道や東北地方であれば採用の余地はあるが、それ以外の地域では、できるだけ床下換気は自然換気できる工法にした方が良い。基礎断熱は一年を通して床下が快適な温度で保てるため、シロアリにとっては一年中が天国のような空間だ。新築時に薬剤を使用しても、その効果は永久ではなく、一般的な防蟻薬剤の耐用年数は3年から5年程度と考えておいたほうがよい。近年、基礎換気口(通気パッキンなど)のない基礎断熱工法による床下のシロアリ被害が増加しているため注意をしてほしい。仮に住宅会社が第1種換気設備や基礎断熱工法は安心だと言うのであれば、それは何ら根拠がなく、製造メーカー側の説明を鵜呑みにした机上の知識である。

住宅用太陽光発電の誤算

◆住宅用太陽光発電の誤算「10年で投資回収」は大ウソだった (2018.09.25) 

 2019年に住宅太陽光発電を対象にした固定価格買取制度(FIT)が期限を迎える。しかし、政府が描くFIT終了後のビジネスモデルは盛り上がりそうにない。

太陽光発電は日本の「主力電源」として今後も成長できるのか。2019年は大きな節目になりそうだ。

2009年の「余剰電力買取制度」施行から10年が経過し、太陽光発電の電力を売電していた世帯の契約が2019年11月から満了を迎える。これが、太陽光発電の「2019年問題」だ。2019年末までに53万件(200万キロワット)、2023年末に累積165万件(670キロワット)の住宅用太陽光発電が期限を迎えることになる。余剰電力買取制度は、2012年に「固定価格買取制度(FIT)」が施行された時点で一本化。政府が太陽光など再生可能エネルギーを普及させる大方針を揚げ、余剰電力買取制度では進まなかった普及を後押ししようとした。果たして、FITは太陽光発電を爆発的に普及させるのに一役買った。FITスタートから約6年間の太陽光発電の導入量は住宅用で519万キロワットに上る。産業用も含めれば東日本大震災前からの太陽光発電の電源構成(総発電電力量に占める割合)をほぼ0%から5%に押し上げた。太陽光バブルともいえる状況だった。政府は今夏に閣議決定した第5次エネルギー基本計画で、30年度には再エネを主力電源に成長させるとぶち上げた。現状の電源構成で再エネは15%、これを30年度には22〜24%まで引き上げる。そのドライバーは太陽光発電だ。しかし、再エネを急拡大させるためのFITへの血税投入は増え続けている。特に太陽光発電の急激な増加で、2018年度の買取総額3.1兆円のうち国民負担は2.4兆円にも及ぶ見込みだ。太陽光パネルの原価が下がったのに伴い、政府がFITの買取価格を引き下げた。当然のことながら高い買取価格が保証されなければ普及は進まない。1年ごとの住宅用太陽光発電の導入量は落ち込み、太陽光バブルは終焉を迎えた。そのタイミングで迫っているのが「2019年問題」なのだ。FITが終了した住宅用太陽光発電が取る選択肢は売電か自家消費の二つしかない。自家消費とは電気を自給自足することとほぼ同義といえる。昼間に発電して余った電気を自宅に設置する蓄電池や電気自動車(EV)にためておき、夜間に消費する仕組みだ。自家消費することのメリットは簡単に言うと、売るより使った方が得だということにある。東京電力エナジーパートナーの一般的な電気料金の単価は11円/キロワット時。つまり、電力会社から買う電気よりも自宅で発電した電気の方が安いのだ。政府はFIT終了を「自家消費型のライフスタイルへの転換を図る契機」と位置付ける。ただし、現在の蓄電池の相場は80万円から160万円。EVは補助金込みで350万円程度と、いずれも一般家庭には大きな負担だ。政府は自家消費のメリットをアピールすることで、蓄電池の需要を喚起し、メーカーの技術革新によるコストダウンを誘導しようとしているのだ。では、引き続き売電する選択肢はどうか。残念ながら利用者が得する効果は期待できない。「買い取ってもいいけど、せいぜい2〜3円/キロワット時でしょう。ただでも引き取っていいくらい。」ある大手電力会社の関係者は本音をこう打ち明ける。電気は貯められないという性質上、需要と供給を一致させなければ、送配電網に負荷がかかり停電を引き起こす。太陽光発電は天候によって発電量が左右されるため、需要と供給のバランスを保つのが非常に難しい。大手電力会社によって太陽光発電は”厄介者〟だ。そんな厄介者をFITによる破格の値段で買い取れたのは電力会社のコストに一定程度の利潤を上乗せして電気料金を設定できる「総括原価方式」があったからだ。しかし、今は電力小売り自由化の戦国時代。総括原価方式は終わり、大手電力会社は他社との顧客獲得競争に勝つため、コストダウンに余念がない。そもそも自前の発電所でつくる電気で需要を賄える大手電力会社にとって、燃料費ゼロの太陽光発電をあえて値段を付けて買い取るメリットはそう多くない。一方、自前の発電施設を持たない一部の新電力はチャンスとみてFIT終了後の太陽光発電を買取る意向を表明している。それでも実際に買取価格を示したのはスマートテックの8円/キロワット時(通常価格)ぐらい。住宅用太陽光発電が従来通り、高く買ってもらえる保証はない。それでは政府の狙い通り、FIT後の住宅用太陽光発電は蓄電池を導入した自家消費に移行するのだろうか。しかし、事はそう簡単にはいきそうにない。FITが終了した住宅太陽光発電のほとんどが初期投資を回収できないとみられているからだ。


10年で115万円赤字の衝撃

「丸儲けを生んでくれる。皆さん、導入の検討価値ありですよ。」
2011年春、日照時間が全国10位(16年政府統計)の静岡県で、こんなうたい文句が並ぶ文書が出回った。

 成功例として文書の中に登場するAさんは、地元の知人に紹介されて2010年4月に太陽光パネルを自宅の屋根に設置した。思い切って補助金対象の上限ギリギリの9.92キロワットの発電容量にした。オール電化に自宅を改修し、掛かった費用は総額約600万円。Aさんは、「地球に優しいし、光熱費の節約になる。10年で元は取れるし、その後は儲かると言われた。これならいけると判断した。」と振り返る。余剰電力の買取期限が迫っていることをすっかり忘れていたAさん。それでも、「故障もしてないし、発電量も落ちていない。投資は回収できているのでは。」と心配している様子は見られない。
 実際にどうだったのか。Aさんから提供してもらった太陽光発電を設置した後の電気料金、売電収入などのデータを基にFIT期間中の10年の費用対効果を住宅ローン返済に詳しいファイナンシャルプランナーの横山晴美氏に試算してもらった。
 試算の結果はAさんの期待からは程遠く、10年で115万円の赤字となった。実は住宅用太陽光発電を導入した多くの人がFITで投資を回収できると思い込んでいる。FIT期間中に回収できるのは、産業用(買取期間20年)だけだ。もとより政府の調達価格等算定委員会は、住宅用太陽光発電の買取価格についてFIT終了後の自家消費や売電収支も勘案し、20年間での採算性を前提に決めていた。投資の回収期間は10年ではなく、20年なのだ。実際にAさんの場合はFIT後の買取価格が11円/キロワット時だと想定するとFIT終了から8年後にようやく黒字化する。しかし、である。今は電力自由化の真っただ中。大手電力会社や新電力がFIT後に11円/キロワット時ほどの高値で買い取ってくれる可能性は低い。仮に価格を6円/キロワット時と想定した場合、黒字達成化は21年後まで延びてしまう。投資回収を早めるコツは、出費となる電気料金を抑えること。節電するしかない。せっかく太陽光発電を導入することで光熱費を抑えているのに、それでは無意味だ。ちなみにFIT買取価格が下落してから住宅用太陽光発電を設置した場合の費用対効果はどうなるのか。今年、新居を構える際に太陽光発電を導入した東京都のBさんにもデータの提供をお願いした。発電実績が1年に満たないため、新築購入時に施工業者がBさんに示したシミュレーションを基に横山氏が試算した。結果は散々で、10年後は202万円の赤字となった。さらに絶望的なのはFIT終了後だ。買取価格が11円/キロワット時の場合は黒字化が41年後、6円/キロワット時ならば83年後という途方もない結果に。Bさんの場合、もはや投資回収ではなく、住宅ローン返済の一部と考えた方がよさそうだ。

 繰り返しになるが、政府は太陽光発電などの再エネを主力電源化する方針を変えてはいない。政府は2012年にFITの制度設計をした段階で住宅用太陽光発電の投資回収は長期化することを把握していた。電力自由化の余波で、買取価格の下落が太陽光導入の壁になってゆく経過も見てきたはずだ。


FIT後の無策を糊塗する政府

 ところが、である。政府が先日の有識者委員会で「住宅用太陽光発電が自立的な電源として発電していく役割を期待する」と発言し、投資回収もままならない現実とおよそ乖離した夢物語を目標に描いている。政府がFIT終了後に住宅用太陽光発電をどう浸透・定着させるのかの”出口戦略”を真剣に考えてこなかったことの表れだろう。政府は再エネの主力電源化への道筋をつけるために、住宅用太陽光発電を地産地消の分散型エネルギーとして定着させることを掲げている。仮にFIT終了後の住宅用太陽光発電を自家消費型へ本気でシフトさせたいならば、蓄電池やEVを導入する人向けの補助制度は欠かせないだろう。ただし、それでは政府が言うところの”自立した電源”とは言えなくなる矛盾を抱えてしまうことになる。つまるところ、太陽光発電の主力電源化を本気で推し進めるのか。住宅用太陽光発電でその役割を担うのか。仮にそうならば、住宅用導入を推進する新スキームを構築するべきではないのか。日本のエネルギー戦略の根幹に関わる修正が必要なときにきている。

客はローコスト住宅会社の700万円台、900万円台で家が建つといった誇大広告を間に受けてはいけない。これらの広告価格は業界では「釣り広告」と言われ、実際にはこれらの1.5倍から2倍程が実際の建築総額だと考えたほうがよい。人生最大の買い物と言われる住宅、価格の安さだけで業者を決めるのは危険な賭けではないだろうか。

週刊ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

大手ローコスト住宅会社に文春砲

◆大手ローコスト住宅会社に週刊文春 (2017.03.16)

  石川県を中心に急成長を遂げる秀光ビルド。1991年に石川県で設立依頼、「安さが売り」のローコスト住宅会社として急成長してきた。関西エリアではホンジャマカの石塚さんを起用したCMを流すなど知名度も高い。そんな順調な経営拡大を行ってきた秀光ビルドに週刊文春が「急成長『格安一戸建て業者』は欠陥住宅だらけ」という記事を掲載した。週刊文春によると急成長の裏でトラブルが続出しているという。

週刊文春には秀光ビルドの元社員で現場監督を務めたX氏、さらにX氏が担当した約2,000万円の木造二階建て住宅を注文した30代のA氏の友人の証言が掲載された。施主であるA氏は先方との交渉中のため話をすることを遠慮したようだ。A氏から相談を受けていた友人は次のように語った。

「建材が野ざらしになって破損していたり、工事も雑だったことから途中で大工や現場監督を変えてもらいました。屋根の剛性を高めるために屋根裏に取付けられるべき桁行き筋違いがほとんど入っておらず耐震面で重要な役割を果たす耐力壁の寸法が設計図面と比べ90センチ足りないことも判明した。」(週刊文春)

週刊文春は秀光ビルドが設計施工した複数の住宅で瑕疵が見つかったという内容で、随所で建築基準法違反が見つかったというものだった。実際にこの住宅を調査したタウ・プロジェクトマネジメンツの高塚哲治氏は「1階に広さ20帖のリビングを置くなど自由度の高いデザインだったが、設計や施工納まりが追いついていない印象を受けた。基礎や土台、耐震壁の納まり(施工)など基本的な部分ができていなかった。」と指摘した。


〜急成長ローコスト系住宅会社に共通することは必ずひずみが生じる〜

同社の急成長の要因は大きく分けると2つある。1つはローコスト注文住宅を提供してきたこと。デザインの自由度と激安価格で提供することで若年層の支持を得た。もう一つは営業の外注化で、本社のある北陸地方では自社営業だが、関西や中部地方では地元の不動産会社と提携し、顧客を紹介してもらう形で同社が設計施工をするといった方式を用いてきた。
しかし、こうした急成長には必ずといってよいほど歪みが生じる。社員、特に設計を担当する社員(設計士)と現場を監理する社員(現場監督)の教育が不十分で受注棟数が施工能力を大幅に上回ってしまっている。さらに住宅を施工する下請けの職人教育も疎かになりがちで施工マニュアルが徹底されず、個々の職人の判断で現場が進んでしまうケースがある。まさに負のスパイラルだ。

そもそもローコスト住宅は工期(工事日数)を無理に短縮し、安い賃金で下請け業者に工事を請負わせるため、請負った職人は丁寧、確実な仕事を心掛けることは殆どない。建売住宅と違い、難易度が高い注文住宅で受注が急増した同社では現場の負担は相当に重かったはずである。現場監督は担当現場が多すぎて現場監理ができず、各現場は職人任せになってしまう。職人の技量も様々であり、新たに雇う職人の技量がわからないまま同社が施工を任せていた可能性も否定できない。現在、同社ではこれまでの施工体制を反省し、品質管理の徹底を強化するとしている。


〜記者の目〜
顧客はローコスト住宅会社の700万円台、900万円台で家が建つといった誇大広告を間に受けてはいけない。これらの広告価格は業界では「釣り広告」と言われ、実際にはこれらの1.5倍から2倍程が実際の建築総額だと考えたほうがよい。人生最大の買い物と言われる住宅、価格の安さだけで業者を決めるのは危険な賭けではないだろうか。

熊本地震 旧建築基準に死者が集中

◆熊本地震 旧建築基準に死者が集中 (2016.04.23)

  熊本地震で死亡した人が発見された倒壊家屋やアパート計34棟のうち、建築時期を確認できた25棟中、23棟が建築基準法の新耐震基準(昭和56年6月)以前に建築されていたことが毎日新聞社の調査で判明した。建物の倒壊による死者は37人で熊本地震関連の死者48人の約8割にのぼる。耐震性が不十分な建物で犠牲者が多く出ており、国や地方行政による耐震化促進は阪神大震災以降、これまでも十分に図られてきたが、工事費用が最大の障害となり、旧建築基準家屋の耐震補強率は十分とはいえない。また、多くの人が自分のところは巨大地震は起こらないだろうと楽観視している場合も見受けられる。熊本では400年間、巨大地震は発生していなかった。その証拠に熊本県の耐震化率は全国平均82%に対し、76%を大きく下回っている。しかし、この耐震化率も昭和56年6月以降に建築した不動産登記情報を基に算出されているため、現実の数値とはいえない。なぜなら、昭和56年6月以降に建築された建物であっても、明確な審査基準がないため、実際に新耐震基準で建築されているのか疑問が残る。現在においても、一部の優良住宅を除き、多くの一般住宅の建築工事で耐震検査が行われていない。建築前の設計検査と、建築途中での構造検査を建築確認検査機関が実施するよう義務化しなければ、全く意味がないといっても過言ではない。

太陽光破綻へのカウントダウンがはじまったのか

◆太陽光発電買取価格2割超引下げ (2016.04.02)

 経済産業省は2日、企業や家庭の太陽光発電の買取り価格を2019年度より現行価格より2割超引下げる方針を固めた。現在、国の制度に基づく買取価格が高めに設定されており、国民の負担が大きくなっていると判断し、是正することにした。
 出力10kw以上の太陽光設備をもつ企業などからの買取価格は2016年度の1kwあたり24円から毎年2円程度引下げ、2019年度に17〜18円程度に設定する。また、家庭からの買取価格も2016年度の31〜33円から2019年度に24円程度まで引下げる。
 また、太陽光発電について、現在の買取制度を前提に銀行の融資を受け、土地を借りた、または購入している事業者へのフォロー等の有無は現在のところ未定で、国の対応次第でそれらの事業者は苦境に追い込まれる可能性もでてきた。

大和ハウス 全国1204棟の防火ドアなど建築基準法違反

◆大和ハウス 建築基準法違反 1204棟で防火ドアに不備 (2015.10.30)

 大和ハウス工業は30日、全国で施工、販売した戸建住宅および賃貸住宅の1204棟で、火災時の延焼を防ぐための防火ドア等の施工が国土交通省の認定した施工方法と適合せず、建築基準法に違反していたと発表した。第三者機関による防火試験で安全上の支障はないと確認したが、全棟無償で改修に応じるとしている。
 不備が発覚したのは2013年6月から2015年6月までに国内の工場で生産された防火性能をもつ玄関ドアやサッシで、20都県の賃貸集合住宅1193棟と戸建住宅11棟に取付けられている。
 扉枠を外壁等に固定する際に用いるビスが基準より短く、形状が異なるものを用いていた。大和ハウスでは、工場ラインを新製品に切替える際に旧製品の部品を誤って使用したと説明している。
 大和ハウスは2014年12月にも防火シャッターで同様の不備を発表しており、同社の管理体制が問われている。

 

果たして555万円で家は建築できるのか。

◆ある住宅会社の555万円の家を検証する

新築を計画しているユーザーなら誰もが一度は耳にしたことのある555万円の家。
果たして555万円でマイホームが建築できるのかといった世間の疑問に応えるべく、EHデータバンクが実際に検証してみることにした。

555万円の家の条件は以下のようになっている。
①建物本体工事のみ
②木造軸組工法2階建て
③延床面積50㎡(約15.25坪) 坪単価は約36.4万円

平均的な規模の戸建住宅が110㎡(約33坪)程度と考えると、555万円の家は、その半分程の大きさでしかない。しかも条件が2階建てとなると、各階の延床面積は約7.6坪(畳15帖)程度しか確保できない計算なので、予想以上に狭い家だということが判明した。
では実際に50㎡とはどの程度の広さなのか分かりやすく説明すると、1LDK程の広さ(寝室+LDK)である。玄関とLDKの間には仕切りはなく、2Fにトイレも設置できない。(無理矢理設置することも可)
収納スーペースは2Fに2帖程のウォークインクローゼットが1箇所で、1Fには収納はない。
一人暮らしであれば十分だとは思うが家族で住むとなるとかなり狭い空間になる。とくに収納がほとんどないのは致命的だ。

では、販売価格555万円の家が現実的な大きさの家に変更するといくらになるのか検証してみよう。

A.建物本体価格:555万円×(110㎡/50㎡)=1221万円
B.オプション価格:約200万円(シャッター・網戸・収納・オール電化・2Fトイレ設置・設備グレードアップ、TVアンテナ、照明器具、エアコン・他)
C.付帯工事価格:約150万円(外部給排水工事
・電設工事・他)
D.各種申請費用:約70万円(建築確認申請・他)
E.工事監理費:約50万円
F.諸経費:約200万円(A社の場合、建築工事費の10%〜13%)
G.建築費以外の諸費用:約50万円(住宅ローン借入費用・登記・他)

A〜Fの総建築費の合計は1,891万円(税抜) ※坪あたり約56.8万円 
税込価格=約2,042万円
建築総額=約2,092万円(諸費用を含む)

このように検証してみると、大手住宅メーカーよりは安く建築できるが地域の優良ビルダー(ハイレベルの工務店等)よりは割高になることが判明した。また、標準仕様や住宅性能の低さも安い建売住宅や賃貸住宅並みのレベルといえる。
屋根材、外壁材、床材等は耐侯性の低い建材が標準設定されているため、築後10年後に目で確認できるほどの経年劣化が発生する可能性が高い。そのため、家を長持ちさせるためには、築後10年が経過した時点で一度メンテナンスを入れる必要がでてくる。
(30年間のメンテナンス費の概算は300〜500万円程。最低でも300万円は確保しておいたほうがよいだろう)

<結論>
555万円では現実的なマイホームを建築するこが不可能。また、平均的規模の家を建築しようとすると、それなりの価格帯になってしまう。結果、この家は客寄せ商品であると見たほうがよい。
※777万円、888万円の家も同様に考えてもよいだろう。

客を騙し工事を受注していた住宅リフォーム会社に業務停止命令

◆愛建ホーム(福岡県)  消費者庁が6ヶ月の業務停止命令へ (2015.06.11)

  消費者庁は、戸別の訪問先で「屋根裏が腐っている」などとウソの説明をして、不要なリフォーム工事を契約させていたとして、愛建ホーム(本社:福岡県春日市)に対し、特定商取引法違反(不実告知等)で、新規勧誘や契約などの一部業務停止6ヶ月を命じた。同庁がリフォームで業務停止命令を出すのは初。

愛建ホームは営業社員が個人宅を訪問し、「近所で工事をして、屋根が剥がれているのが見えた」、「近所の工事で材料が余ったので格安で工事をする」等の営業トークで施主を勧誘し、はじめは1万円程度の簡易工事をした後に高額なリフォーム工事の契約を結ばせていた。その際、修理の必要性のない屋根などについて、「屋根裏が腐っているので危険」、「瓦が割れている」など、客が実際に目視で確認きない箇所について、虚偽の事実を告げて客を不安にさせて契約を迫っていた。特に60歳以上の高齢者に被害が多かった。

苦情相談があったのは本社のある福岡県を中心に九州地区で274件、支店がある愛知県周辺では148件に上る。寄せられた苦情の中で最高契約額は約1600万円で、平均工事費は100万円にのぼった。同社は2012年5月以降、同法違反で九州など4県から改善指導を受けていたが、これに従うことなく悪質な営業を続けていた。

リフォームをめぐるトラブルは全国で増加しており、2013年度に国民生活センターに寄せられた相談件数は7000件以上にのぼる。必要のないリフォーム契約をさせられたという苦情がも多く、関東圏、近畿圏に本社を置くリフォーム業者だけで700件以上の相談が寄せられている。

消費者庁は「これらの業者には営業手法や契約を迫る手口が共通しており、他の地域でも同様の相談がきている。泣き寝入りや騙されていることに気付かないケースも多いと見られ、相談は被害の一角だと思う」としている。

建築に詳しい専門家は「多くの個別訪問業者は悪質な会社が多い。また、60歳以上の高齢者宅を狙って訪問することが多く、これらの訪問業者は、世間話など良くお年寄りの話を聞いてくれるので、高齢者はつい信用してしまいがち。しかし、彼らは高齢者を安心、信用させるための徹底した教育を受けており、安易に訪問業者を信用するのは非常に危険。契約前に近所の方や親族に相談するように。」と注意を呼び掛けている。

エイトホーム 新提案型住宅の開発へ

◆エイトホーム 新提案型の住宅開発へ (2014.10.04)

エイトホーム(本社:千葉県南房総市)はベースプランを基にユーザー自信がアレンジを加えることのできる新提案型の住宅を来年1月に発表する。同社では高品位住宅シリーズの中でも人気の高い「ジュピター」をベースに商品開発を実施。新たな商品は基本となる間取りを基ににユーザーがアレンジを加えることが可能で、建築予算計画が従来型の商品よりも容易になるという。ベースプラン(21坪〜32坪)の4パターンを用意し、簡素化したアレンジプランをも数タイプ設定している。新たな商品は建物外周を箱型に固定することで、デザイン性の確立とプラン制約により建築コストを抑えた。価格はミドルクラスで1,400万円(本体価格)程になるという。

エコキュート 103万台リコールへ

◆パナソニック エコキュート 103万台リコール (2014.07.24)

パナソニック(旧:松下電器)は2003年11月~2013年1月に製造した家庭用給湯機「エコキュート」、103万台をリコール(無償点検・部品交換)すると発表した。同社はエコキュートのトップメーカーで、国内の約4分の1が対象となる。7月25日から専用窓口を設け対応する。

同社によると、エコキュートの熱を生み出す圧縮機の部品が破裂する事故が14件発生しており、リコールは期間中に製造した全208機種103万台が対象。そのうち、自社ブランド「パナソニック」、「ナショナル」が約98万台で、他社ブランドの「コロナ」、「ユーリッチ」が約5万台。無料で点検及び部品交換に対応する。

はじめの事故は2013年1月、兵庫県内の戸建住宅で発生し、これまでに14件が確認されている。このうち、5件は圧縮機の破裂で、付近にあったものが破損したが怪我人はおらず、火災等もなかった。パナソニックによると、原因は金属製の圧縮機の腐食で、機器底板に塩分を含んだ水が溜まると圧縮機を覆う防音材が水分を吸上げ(毛細管現象)、腐食が進行したと説明している。

エコキュートは、大気中の熱を集めて湯を沸かす省エネ型の給湯機で、東京電力とコロナが共同開発した画期的な次世代給湯機として2001年以降に普及しはじめ、国や大手電力会社が中心になって推進したオール電化住宅の普及に拍車をかけた給湯機。料金の安い深夜電力を利用し、翌日分の湯をつくる。これまでに430万台以上が販売されている。

エネファームでガス会社を提訴

◆エネファーム購入の客が東邦ガスを提訴 (2014.05.19)

  ガスから電気と湯を作る家庭用燃料電池システム「エネファーム」を購入した愛知県内の男女5人が19日、販売元の東邦ガス(本社・名古屋市)が作製したパンフレットに虚偽記載があったとして、設置費用計1293万円の支払いを求める訴えを名古屋地裁に起こした。

  訴えた客は東邦ガスからエネファームをそれぞれ210万円〜280万円をかけて設置し、東邦ガスとガス契約を結んだ。当初、東方ガスは光熱費が年間約4万5000円〜5万5000円削減できるとするグラフをパンフレットに掲載していたが、実際には冬季を中心にガス代が大幅に増加した。

  原告A氏の年間のガス代は設置後に10万9371円増加し、電気代と合わせた光熱費は3万7896円増えた。原告B氏は年間7万1665円増加し、光熱費は923円増えた。他の3名もガス代が増えたと主張している。

  訴状などによると、エネファームに付属するバックアップ給湯器が冬季のガス代増加の原因だという。バックアップ給湯器はエネファームでつくる温水が不足する場合の補充で、貯湯タンクの加温の他、床暖房に使われる。

  しかし、東邦ガスのパンフレットには「エネファームが発電しているときにできたお湯を床暖房に使っていると考えると気兼ねなく使える」などと記載されていた。原告側が虚偽の記載と訴えているのはこの点だ。

  原告5人を含む、エネファーム購入者9人は、2012年4月、東邦ガスに対して光熱費の苦情を訴え、原告以外の4人は、販売代理店の説明が事実と異なっており、東邦ガスに責任はないとする同社の主張に同意し、それぞれ150万円の示談金を受取り、示談した。しかし、原告5人は示談に応じず提訴に踏み切った。

  原告側は「東邦ガスのパンフレットを見て信用した。冬場に光熱費が著しく増加することや、バックアップ給湯器で床暖房の温水を賄っていることが分かっていたら、200万円以上も掛けて(エネファームを)設置しなかった」と話している。

  東邦ガスは「訴状が届いておらず内容が分からないので答えられない」としている。


≪記者の目≫
エコキュート(電気系)を利用したオール電化住宅が大幅に普及する中、家庭用燃料のシェアを電力会社に奪われたガス会社各社は必死に巻き返しを図ろうと躍起になっている。エネファーム(ガス系)は、エコキュート(電気系)に対抗できる給湯器としてガス会社各社が販売に力を注いでいる商品である。しかし、エコキュートやIHクッキングヒーターが誕生するまで、長年に渡り、家庭用給湯器や調理機器の燃料の大半はガスであった。過去、ガス会社各社はそれほど企業努力をすることもなく、安定的な収益を得ることができていたのである。また、ガス業界は自由料金制度を保っており、顧客毎にガス料金が違う。そうしたガス業界の怠慢により、得意分野であった調理機器も電気にシェアを奪われる格好となった。そうした焦りが、今回のような誇大広告につながっている。ガス会社が起死回生するには、顧客サービスの徹底とガス料金の明確化、そして、総合的なコスト削減が求められるのではないだろうか。

ミサワホームが形式適合義務違反

◆ミサワホーム  1619棟で形式適合義務違反 特定行政庁が調査 (2013.11.15)

  ミサワホームは11月15日、同社関連会社であるミサワホーム中国、ミサワホーム北海道、ミサホーム佐賀の三社が施工した木造住宅において、施工不備があったと公表した。同社の施工不備による調査対象住宅は1619棟に上る見込み。
  このうち5棟は特定行政庁が調査し、ミサワホームが認定を受けていた形式の仕様とは異なる施工が施されていたことを確認した。また、形式適合義務違反であることを国土交通省に報告した。
  施工不備の内容は、設計仕様上、軸組材と面材で構成される補助水平構面を設置しなければならないところ、軸組材のみが施工され、面材が施工されていないというもの。補助水平構面は壁パネルや屋根パネルの変形を抑制する補助的な部位。
  同社によると、原因を調査した上で、販売施工会社の建設担当者などの誤認による指示間違え、または施工会社の認識不足により発生したものであると説明。また、複数の販売施工会社において、長期間に渡り、多くの棟数にて、間違った施工がなされていた可能性があることを把握できなかった当社および各社の建設部門全体の管理上の問題であり、現場施工品質の確保のための販売施工会社に対する情報伝達、教育研修、施工管理体制の徹底などが不十分であったことが原因であるとの認識を示した。
  同社は安全性は特に問題はないとしているが、必要な個所に必要な部材が施工されていないため、安全性が確実に保証されているわけではない。またしても、ハウスメーカーの複雑な受発注システムが弊害となって、発生したコンプライアンス違反であることに変わりない。

林野庁「木材利用ポイント制度」4月1日より開始

◆木材利用ポイント制度が開始(2013.03.30)

林野庁は国産材を中心とする木材利用の促進を図るため、「木材利用ポイント制度」を2013年4月1日より開始すると発表した。杉や桧などの地域材と呼ばれる木材を一定以上使用し住宅を建築すると最大30万ポイントを発行する。また、同様に地域材を一定以上使用して既存住宅の内外装をリフォームすると最大30万ポイントを付与する。
貯まったポイントは加工食品などの地域農林水産品や農山漁村の体験型旅行、商品券などと交換できるという。

◆住友林業も違反か  3524棟に建築基準法違反の疑い 国土交通省が調査 (2012.08.10)

国土交通省は2012年8月10日、住友林業(東京都千代田区)が40都道府県で建てた木造住宅3524棟で耐火性確保のための国交相が認定した施工方法に適合していなかった可能性があると発表した。
建築基準法違反の疑いがあり、現在、都道府県に調査を求めている。

 

住友林業は「採用した施工方法は検査機関を通じて自主的に安全性を確認しているが、手続きの不備などがあった。国交大臣の認定を受けられるよう申請している」としているが、認定以前に竣工した物件に新基準が適用される可能性は低い。

問題の住宅はいずれも壁や柱、床などに一定の耐火性能を有する「準耐火建築物」で、国交相の認定を受けた工法を採用しなければならないが、住友林業は認定基準を満たしていない施工をしていた。
壁の石膏ボードに使用するビスの長さ不足、同ボードのたわみを防ぐ下地材も使用していなかった可能性が高い。

住友林業によると多くは市街地にある三階建てで1994年以降に建てられた建物だという。
3524棟とは別に都内で施工中の1棟で同様の事例が発覚し、国土交通省が調査していた。