実験は2004年、土木研究所(茨城県つくば市)の振動実験台を使い、阪神淡路大震災の際に神戸海洋気象台が観測した地震波を振動台で再現したもの。建物は実物大の木造住宅で、壁量計算により、性能表示制度における耐震等級1(耐震要素が建築基準法同等)をギリギリ満たすよう設計された。下記の写真はその結果である。

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写真左手前の通し柱が1階と2階の間でくの字に折れているのがわかる。実験上の都合で試験体内部には倒壊防止ワイヤーが張り巡らせてある。このため変形はこの程度で済んでいるが、本来であれば建物は崩れ落ちていたはずだ。
実はこの試験、関係者以外非公開で耐震等級1の建物で実験(上記写真)が行われていた。「等級1」の実験は「倒壊の危険がある」という理由から極秘に実験が行われていたのである。公開実験が行われたのが2006年の「等級3」(耐震要素が建築基準法の1.5倍)の試験体を用いての実験だ。この結果、「等級1」と「等級3」とでは全く揺れ方が違うことがわかった。「等級1」は揺れ幅が明らかに大きかった。「等級1」はJMA神戸波で最終的に12度も変形、柱が接合部で折れてしまった。一方、「等級3」の変形角は2.2度。単純にいうと、「等級1」が倒壊したのは「変形角が大きくなり過ぎたから」だ。今後、住居の新築を建築される方は最低でも「耐震等級3」で建築するようにしてほしい。
(一部NKHB記事より)