◆タマホーム 今度は長期優良住宅での偽装発覚! 度重なるタマの偽装に業界は唖然

国土交通省は2010年12月13日、一級建築士7人に建築士法に基づいて同月7日に下した懲戒処分の内容を発表した。うち1人は長期優良住宅関連の最初の処分事例となった。
この建築士は大手住宅会社の「タマホーム(東京都港区)」宮崎支店に設計担当社員として勤務していた群司和徳氏(49)で、業務停止11カ月の処分を受けた。
タマホームは主力商品である木造住宅「大安心の家」などに、長期優良住宅の認定を受けることが可能な標準使用を採用していたが、建築主が希望した場合のみ認定を申請している。
タマホームは10年3月、宮崎県内の「大安心の家」10棟を対象に認定通知書を偽装し、別の6棟については09年末から10年にかけて認定申請に必要な書類である適合証を偽装した。この偽装行為を10年7月に宮崎県が把握したことで今回の処分を受けるに至った。
補助金や優遇税制など、長期優良住宅のメリットを住宅会社が利用するには、建築確認申請とは別の手続きで特定行政庁に認定を申請する必要があり、認定申請に必要な書類である適合証を得るには登録住宅性能評価機関への技術的審査も必要だが、タマホームはこの2通りの申請手続きを怠った。
宮崎県建築住宅課の担当者は、「刑事告発も視野に入れて宮崎県警と相談している」と語った。
偽装の対象となった16棟の住宅は既に完成しており、引渡しも済んでいるという。
タマホームは、建築主への謝罪や、建築主から受け取った長期優良住宅の申請に必要な費用を返金したという。
被害に逢った建築主は、自身のブログで「長期優良住宅仕様の家でありながら、認定が取得できていないので長期優良住宅とはならない。申請費用の返金のみでは納得がいかない。」と語っている。
偽装を行った郡司氏は10年秋に退社した。

タマホームは2007年にも実際には注文住宅日本一ではないにも関わらず、テレビCMや折込広告で「2年連続日本一」と大々的に表現し、公正取引委員会から排除命令を受けている。

≪記者の目≫
一社員の偽装として本件を終わらせようとする会社の姿勢に違和感を感じた。16棟もの偽装をしておきながら、業務停止11カ月の処分は被害者の立場からすると甘いという他ない。
実はタマホームは長期優良住宅の補助金対象の会社ではないので公的な場で長期優良住宅の適合証を使用する機会が殆どない。そもそも長期優良住宅の認定は補助金を受けられる建築主以外は公的な検証がされないため、偽装は他にも多くあるのではいかと疑ってしまう。
また、この事件について新聞各社や民法各局は全くといってよいほど報道をしていない。タマホームはマスコミ業界へ多額の広告宣伝費を投入していることから各社とも報道を控えているのではないだろうか。業界にとっては姉歯建築士の耐震偽装事件以来の大事件である。
いずれにしてもタマホームは誇大広告や消費者にとって紛らわしい価格表示を止めるべきだ。