◆セキスイハイム  長期優良住宅の認定書偽装 千葉市など3市が告発へ

千葉・習志野・佐倉の3市は、税制上の優遇措置が受けられる「長期優良住宅」の認定通知書を偽装したとして、有印公文書偽造・同行使などの疑いで容疑者不詳のまま3月26日に千葉県警に告発していたことが5月7日、明らかになった。
セキスイハイム千葉支店の社員が工期短縮を図るために関与したとみられている。
同時に確認検査機関の建築確認済証を偽装したケースも発覚。耐震性など建物自体に問題はないというが、一部では是正工事の協議も進められている。
同社は1月19日付で、偽造を認めた社員(30)を懲戒解雇した。

千葉市建築指導課によると、2010年10月に同市若葉区で着工した戸建て住宅において、セキスイハイムの社員は長期優良住宅の認定通知書を偽造し市に提出。
認定には市の審査が必要だが、社員は別の建築物で使用した認定通知書の公印部分などをコピーし、新たに別の建築主の氏名や住所などを記入したという。

この社員は建築確認申請の書類についても民間検査機関に提出したと虚偽の報告を行ったといい、現在、建築主との間で是正工事についての協議が進められている。
なお、各建築主は、いずれの偽造について、一切知らされていなかったという。

習志野市や佐倉市でも、長期優良住宅の認定書や宅地造成時の検査書類をめぐって相次いで偽造が発覚している。
このほか、市原市では市街化調整区域に開発許可がないまま民家を建築し、民間の確認審査機関の確認済証を偽造した都市計画法違反、建築基準法違反の疑いが持たれている。

同社は、読売新聞社が行った取材に対し、「納期の関係もあり本人に焦りがあったようだ。事態を重く受け止めており、4件の顧客には経緯を説明している。今後、補償も含めて対応する」としている。

2010年に起きたタマホームの長期優良住宅認定書偽造事件など、大手ハウスメーカーによる偽造事件が全国で多発している。
業界関係者によると、大手ハウスメーカーによる偽造は利益優先の経営体質による無理な工程管理が最大の要因だと指摘している。

大手ハウスメーカーによる過去の事件
2006年 耐震強度偽装(一建設)
2007年 構造計算書偽装・コンプライアンス違反(積水ハウス)
2008年 建築確認無認可着工(積水ハウス)
2009年 建築確認関係の公文書偽造(積水ハウス)
2010年 長期優良住宅認定通知書偽造(タマホーム)
2011年 施工建物内に不法投棄(積水ハウス)
2012年 長期優良住宅認定通知書・他建築関連書類偽造(セキスイハイム)