◆太陽光パネル撤去の判決

隣家の太陽光パネルによる反射光被害を理由に同パネルの撤去を求めていた裁判で、横浜地方裁判所は4月18日、原告A氏の訴えを認める判決を下した。
裁判所は被告B氏に、民法の建物所有権の妨害排除請求として北側の2階屋根に設置されている全パネル(計12枚)の撤去を命、更にB氏と住宅を建築したタマホームに不法行為に基づく損害賠償責務として連帯で22万円を支払うよう命じた。
タマホームは5月2日控訴したが、B氏は控訴しなかったので、B氏の判決は確定した。

B氏宅は自宅の建替えの際に、太陽光発電を設置。計19枚のパネルのうち、南側の屋根に7枚、北側の屋根に12枚を載せた。しかし、北側に載せたパネルに太陽光が反射し、A氏宅の南側の居室に反射光が射し込むようになり、A氏は眩しさで目が痛むようになった。
A氏が隣人のB氏に被害を伝えたところ、B氏宅を建築したタマホームから文書による回答があった。
パネルは撤去する、A氏宅の窓ガラスに防眩フィルムを貼る、カーテンを取付る等の案が示された。しかし、A氏は納得できず、裁判に持ち込んだ。

第一回公判は2010年11月だった。当初、裁判所は和解を探ったが、タマホーム側からの和解案にA氏が難色を示し、他の案もB氏が拒んだため、一年間の話し合いを続けたが和解には至らなかった。

裁判の争点は、反射光が受忍限度を超えるか、住宅会社は被害を予見可能か、損害賠償額の3点だった。
反射光の受忍限度についてA氏は、射し込む輝度は反射していない時に比べ、最大で4000倍になると主張。B氏側は損害が具体的でなく、反射光も一時的若しくは部分的であると反論した。裁判官はA氏側の証拠資料と自らがA氏宅にて眩しさの状態を確認したことを踏まえて、受忍限度を超えるとした。

住宅会社は損害を予見可能であったかについて、タマホームは、北側にパネルを設置することを規制する条例や法令はなく、業界内でも同様の例はないことから、予見は不可能と主張した。しかし、A氏は住宅会社なら容易に予測できると反論し、裁判官はA氏側の訴えを支持した。

損害賠償については、A氏は、平穏な生活を妨げられたうえ、誠意のない対応で精神的苦痛を受けたとして、一人あたり、弁護士費用も含めて110万円を求めた。裁判官は、書面で回答しており、不誠実とはいえず、被害は一定の時間と場所に限られるので、損害賠償額は一人あたり、弁護士費用も含めて11万円が妥当であるとした。

パネルメーカーの中には北側に太陽光パネルを設置する際は、隣家の同意を得るよう求めているところもある。いずれにしても、太陽光パネルが反射トラブルを起こす事態を想定し、効率的に発電できるように計画することが施工者に求められるのではないだろうか。タマホームが控訴したことで、今後の裁判の行方に業界全体が注目している。